ブレードランナー (ディレクターズ・カット)

 自分の中ではつまらない映画だけれども、日本でもっとも良心的な映画研究者の加藤幹郎が、一本の映画のテクスト分析に240ページも費やした『「ブレードランナー」論序説』という本を出してしまったからには気づかないふりはできない。10年ぶりに見た。一部のマニアにしか受けないだろうと、映画が好きというよりは『ブレードランナー』が好きという人たちのための作品だろうと思っていたけれども、加藤幹郎ほどの鑑賞者の偏愛の対象にもなっているわけだ。つまらない映画を言説で面白くするのが映画批評ではないわけで、だからなおいっそう、もしこの本を読んで『ブレードランナー』が面白くなっちゃたらどうしよ。

加藤幹郎のコメント

加藤幹郎 著 『「ブレードランナー」論序説』(筑摩書房,2004)