恋人までの距離〈ディスタンス〉

 開始数分のうちに劇内注意が向かうただ二人の登場人物(イーサン・ホークジュリー・デルピー)が紹介されて、詩情のかけらもない高速列車での会話劇が展開される。「速さ」と「直線性」はその後の遅くて曲線的な二人の恋愛を浮遊させるために用意された。だから、日が昇り別離した二人が、それぞれバスと列車に乗って再び「速さ」と「直線性」に回帰する終わり方は決定的に正しい。と納得し大方満足。