PTU

 広角レンズで周辺を禍々しく歪められた夜の街が一番横に長いはずのシネスコの中で狭苦しいのか絶叫をあげているよう。とりたてて仁義やら友情やらを描かなくても、異形なまでに強烈なライトを当ててやれば人間臭いものが漂ってくるし、集団で巡回している機動隊PTUの一人が数メートル仲間から離れた構図で関係の風景は出来上がっている。十分に警戒しながら階段を上るPTUがあずかるのもやはり光でだった。手にした懐中電灯を踊り場ごとに照らしながら上りゆくのに不在ばかりが在るので、残念ながら光には見捨てられたんだ。人を解放的にするはずの体積の大きい空間で際立ってしまった存在の孤独と、その周辺の不在に宿る野性的な精気を描き得ているフィルム。