The Empire Strikes Back

 『帝国の逆襲』は非常によい。本シリーズ中の出色というだけでなく(EP3は見てないけど)、一本の映画としてとてもよい。スター・ウォーズ・ファンはルーカス以上にアーヴィン・カーシュナーに感謝しよう。ハン・ソロがカーボナイト冷凍された辺りからエンド・クレジットまでは固有な映画体験を提供してくれる。レイアらのプロットもルークのプロットもこまかな縫合で時間の繋がりが途切れることはないし、クラウド・シティという繋ぎとめられた一つの舞台で、二つのプロットが右や左といった区分なき360度の空間を贅沢に供給している。彼らは、なおその場に滞在していなければならない気もしているし、退散したい気もしている。時間毎ごとに物語を押し進める加速度が変化するわけだ。『帝国の逆襲』のソロのカーボナイト以降を見たり聴いたりすることは、途切れなく思考することのモデルであり、その際C-3POから見事に滑稽な台詞を聞かされても、そこで負けて思考を絶ってはいけない。
 ただ、97年の特別篇で加わったベイダーのスター・デストロイヤーへの帰還のシーンが、やや溝を作っているようで残念ではある。