マイ・ボディガード/バッドサンタ

vigo2004-12-19

マイ・ボディガード・・・トニー・スコットという映画作家は、兄リドリー・スコットとの関係を抜きにしては語りえないと思う。リドリーよりも才能があることは明らかなのに、世間からの評価は彼と比べて随分と低い。本作はそんな状況に対するトニーの怨念がぶちまけられた結果だと感じた。外見は穏健なのに冷酷無比な殺人を涼しい顔をしてこなすデンゼル・ワシントンの演出は、暴力描写で一段上と見られている兄リドリーをこばかにしようとする意図が透けて見える。凝った撮影と編集も「美術的」という点で然り。そして146分というトニーの作品にしては耳を疑うような上映時間の長さ。きっと、自分にはこれだけの長さのフィルムを配給させる力があるのだという誇示に違いない。なにより説得力を持つのが、誘拐犯の首謀の弟(弱弱しい)とデンゼル・ワシントンとの交換で物語が終わると言うことだ。延々とトニーのだだこねのような146分は明確な宣言で終わった。

バッドサンタ・・・「コーエン」と、オープニングショットでつぶやく。直後プロデューサーにコーエン兄弟の名前が。二人の最近の作品、『ディボース・ショウ』や『レディ・キラーズ』に比べたらずっと秀逸。彼らのように堕落しないといいが。アイディアを90分120分ひっぱれるか、だね。

 今日は3本見ようと考えていたのだけれど、みずほ銀行が全営業所休業(!)でお金おろせず空腹に耐えて2本。