スキージャンプ・ペア

”Faces” by John Cassavetes

 情景とか人体の描写や実況の声に至るまで「本当らしさ」を追求しているしテイクオフや着地もそれなりに現実に似ているのに空中にいる間だけ激しく常軌を逸した運動能力を示す彼らの演目がかろうじて見る者の身体に笑いを作用するのはわざわざ二枚の板を足にくっつけて雪の上をすべり空を舞うという現実におけるスキージャンプ(シングル)の奇行を受け入れワールドカップやオリンピックのもとにスポーツ競技として観戦してしまう我々の内に自らの領分ではない空中での事の発生には事故等の危機感の余地はないくらいのよそよそしさが消し去りがたくあるからに違いない。