テニスと映画

 テニス部だった中学のとき、部員ら友人をすんなりと映画の方へと誘うことが出来たのは、理由があってのことだと思っていた。

友人たちが、僕がテニスについても書ける能力があることを知って驚いているという事実に僕は逆に驚かされてしまった。それは、まるでテニスというのは、少なくとも古い演出やトポグラフィーの映画と同じものであるのを友人たちが理解してくれないので僕が恨みに思っているようなものだ。でも僕は大した努力も払わずにフリッツ・ラングにおいてパッシング・ショットを見出したし、ミロソフ・メシール(チェコのテニス選手)にインサート・ショットを見出すことができた。(セルジュ・ダネー 『不屈の精神』 フィルムアート社)