ブッチャー・ボーイ

The Butcher Boy

 実に気に入った。それがイギリスやアイルランドの国民性が映し出すものなのかニール・ジョーダンの性質なのか、おそらく前者だと思うのだが、映画に対するある種の薄情さ、それが精神的なミニマリズムを形成しているように思う。フレーム外に拡がる豊かさとは無縁で、単にフレーム内から直截にイメージがほうり出されてくる。形式的とは呼びがたく、やはり精神的ミニマリズムの名がふさわしい。それはどこか、サム・メンデス(イギリス生)やウェス・アンダーソンアレクサンダー・ペインにも継がれているように思う。後の二者もイギリス風顔だし(!?)。 『ブッチャー・ボーイ』、実にいい。