真夜中の子供たち
- サルマン・ラシュディ 寺門泰彦訳 『真夜中の子供たち』(下) Midnight's Children 1981 早川書房
主人公サリーム・シナイはインド独立の当夜に生まれて、以後自国の歴史に刻まれるようなありとあらゆる事件を引き起こしてゆく。その荒唐無稽な展開が面白い。「マジック・リアリズム」という名で文学の領分ではあるんだろうけれど、旧ユーゴ出身のエミール・クストリッツァの映画群を想起する。インドのことを勉強しよう。今回はプロットを楽しむという読み方を中心にしていたと思うので、次回は歴史にもっとコネクトした読み方ができればなと。
数多く線を引いた文章から簡単に短いのを引用。
凝血のような塊を含んだ暗赤色の液体は路上に零れると赤い手のように固まり、後退しつつある統治(ラージ)の権力を糾弾するように指差す。(上巻P.54)