A Gentle Creature

une femme douce

 88分のあいだにドアの開閉がいったい何度あるのか(!!)。とそんなことを数えてる場合でない。手のクローズ・アップも然り。『湖のランスロ』以上に純化されたオープニング・ショット群のバイオレンス。顔が登場するのはそんなオープニングの山場を越えてからだ。ブレッソンにとっては、顔はちっとも重要じゃない。顔は感情や内面の表現の最重要ファクターであったろう、しかし虚構の外層でしかない映画で「内面」って?!ブレッソンのフィルムにおいては、首から下の顔に比べたらずっと正直な動物的な肉体が、脳や脊髄や骨といった内面そのものだ。
 
 画像はチェコ公開版ポスター。