解き放たれる視覚―マネと「注意」の概念の出現をめぐって

  • ジョナサン・クレーリー(『アンチ・スペクタクル』第4章)

むしろ私は『温室にて』は何よりもまず、さまざまな形で分散された視野を再統合する試み、不動化に抵抗する象徴的内容をしっかりと固定化する試みだと思っている。(p.153)

 ゴダールはマネが映画を発明したみたいなことを言っていた。それがはったりではないことがこの小論を読んで分かった。クレーリーはマネの1879年の作品『温室にて』(今日の上の画像)に、注意の分散と統合の流れがあると指摘している。映画が発明される以前から、人間の知覚的条件がダイナミックで時間的なものを受け入れるものとして準備されていたというわけだ。ミュージック・ビデオなんかはマネの絵画を飽和化させたような気散じの極致だな。