愛情萬歳

 現代の映画のブームのとしての引き算による寡黙さから遠く離れて、もとい0(ゼロ)としての寡黙さが辺り一帯それから時全体にひらたく覆い、ホラーでもないのに息をひそめなければ向こうに悪いと思うくらいなのだ。ロングショットのロングテイクで無表情な役者たちがしかし、身体と顔の機能を幽かにでも開花させてゆくのろりとした推移の行き場は底抜けない。 ほんなら突発的なアクションなどただ一つで足りるというもの。他人のマンションに忍びこんだリー・カンションが下着姿で図らずももう一人の空き巣に遭遇してしまい小刻みに身体をビクつかせるアクションには、そこだけに孤高な息づかいがあり、しばらく「アクション映画」は見なくてよいと思ったほどだ。