朔太郎

萩原朔太郎/河上徹太郎編 『萩原朔太郎詩集』 2003=1950 新潮社 今さらながら読んでみた。凄い。 ISBN:4101197016

『日本の写真家 緑川洋一』 1997 岩波書店 日本の写真家〈22〉緑川洋一作者: 長野重一,緑川洋一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1997/12/18メディア: 大型本この商品を含むブログ (12件) を見る

森達也 『ドキュメンタリーは嘘をつく』 2005 草思社 ドキュメンタリーだろうがなんだろうが、真に見るに値する映像作品には固有性というものが備わっている。固有性を有した出来事は、何にも似ていないし、言語による期待を剥奪されて何にも支えられずに一…

半島を出よ

村上龍 『半島を出よ』(下) 2005 幻冬社 非常におもしろかった。日本人読者の世の中に対する態度に変更を働きかける作品だと思う。エンターテイメントとしてもフレデリック・フォーサイスやマイクル・クライトンの作品群に比肩するはずだ。 しばし挿入され…

ホントにこうなったらこわい

村上龍 『半島を出よ』上 2005 幻冬社 登場人物が多いせいもあってか、物語の密度がかなり薄いような気がする。前半3分の2がイントロダクションといった感じ。それ過ぎた辺りから乗ってきた。遠征軍警察隊隊長チェ・ヒョイルが任務遂行中に攻撃を受ける最後…

ワインズバーグ・オハイオ

アンダソン 小島信夫/浜本武雄訳 『ワインズバーグ・オハイオ』 Winesburg, Ohio 1997=1919 講談社 短編22篇。始まりは正常で登場人物も特異な行動をするわけでもないのに、ヘンテコでグロテスクな印象を強く受けた。語られ方が、小説として大きく開かれてい…

りゅう

本屋に行ったら村上龍の書き下ろし『半島を出よ』が出ている。特定の作家の作品を除いては今の日本の小説はあまり読んでないけれど、特に好きでもない村上龍の作品はしかしおさえておこうと思ってたまに読む。かなり力を入れて書いたんじゃないですか、これ。…

不屈の精神

セルジュ・ダネー 梅本洋一訳 『不屈の精神』 Perseverance 1996(1994) フィルム・アート社 読了。こういうモラルの書を欲してました。 「プロ」として映画を見るのを学ぶことは、フィルムを次第に自分の問題とは別に調査してゆくことを学んでゆく事実が一方…

テニスと映画

テニス部だった中学のとき、部員ら友人をすんなりと映画の方へと誘うことが出来たのは、理由があってのことだと思っていた。 友人たちが、僕がテニスについても書ける能力があることを知って驚いているという事実に僕は逆に驚かされてしまった。それは、まる…

エリザベス・コステロ

J.M.クッツェー 『エリザベス・コステロ』 Elizabeth Costello 2005(2003) 早川書房 ISBN:4152086211 id:vigo:20050301#p3 『エリザベス・コステロ』 id:vigo:20050224#p1 "Youth" id:vigo:20041108#p2 『マイケル・K』 id:vigo:20041110#p2 『マイケル・K…

映画の論理

加藤幹郎 『映画の論理―新しい映画史のために』 2005 みすず書房 読了。男性メロドラマの創造という観点からその仕事の先見の明をみる第3章「ニコラス・レイ論の余白に」がいちばん面白い。特に、レイと現代のデイヴィッド・リンチとが太い線で繋がれる論法…

映画の論理

加藤幹郎 『映画の論理 新しい映画史のために』 2005 みすず書房 映画関係の書物というとおおかた退屈なものばかりだけれど、加藤幹郎のそれだけは配本日当日にでも購入して読みたい。 蓮實某先生は同じことばかりしか言わないし、松浦寿輝氏はその鋭い感受…

Youth

J.M.Coetzee "Youth" 2003 Vintage 美しい。小説というかたちをとってはいるけれど、南アフリカ共和国で生まれ、ロンドンでコンピューター・プログラマーとして働いている主人公の経歴はクッツェーのそれと同じだし、名前も同じく"John"なのだ(ただしこの名…

ハンター・S・トンプソンが自殺したとのこと。イ・ウンジュに続いてまたか・・。

国際ブッカー賞

新設された国際ブッカー賞。選出は二年に一度で、イギリス以外の国籍、英語文学以外も含める。同一人物の複数授賞はなし。なんとも気になる賞の候補が挙がった。 Margaret Atwood(マーガレット・アトウッド) Saul Bellow(ソール・ベロー) Gabriel Garcia…

映画理論史

アリスタルコ 吉村信次郎/松尾朗訳 『映画理論史』 1962 みすず書房 古本屋で。ジガ・ヴェルトフ、クレショフ、バラージュ、プドフキン、エイゼンシュテイン、アルンハイムらの理論を時代の流れに沿って解説している模様。おもしろそう。

エリザベス・コステロ

鴻巣友季子訳でクッツェーの『エリザベス・コステロ』が早川からでます! http://www.hayakawa-online.co.jp/top.asp

ホワイト・ジャズ

ジェイムズ・エルロイ 『ホワイト・ジャズ』 White Jazz 1994=1999 文春文庫 物語がかなりごちゃごちゃしているうえに文章もごちゃごちゃしているので前に戻ったりして読み進め、よく分からないうちに読み終わる。でもなんか凄い。ホワイト・ジャズ (文春文…

スタンリー関連

"The Stanley Kubrick Archives"という本が出る。未公開資料も収める。特筆すべきは1966年録音70分のインタビューCDがついているということ。200ドル。高い、けどほしい。こちら

明日でテスト終わり

用事のついでに三田の図書館で本を借りる。たまっていた読みたい本、春休みを使って読むべし。とりあえず三冊。 モリー・ハスケル 『崇拝からレイプへ 映画の女性史』 ジークフリート・クラカウアー 『大衆の装飾』 フリードリヒ・キットラー 『グラモフォン…

イーストウッド

イーストウッドの新作『ミリオンダラー・ベイビー』が『ミスティック・リバー』をしのぐ傑作とかいう評判を聞くと、やや動揺してしまう。92年の『許されざる者』という傑作をとった後数年はやや小粒な作品を連発していたイーストウッドが、『ミスティック・…

トマス・ミッチェル

深夜勉強の合間に蓮實重彦と山田宏一の対談を収めた『傷だらけの映画史』ISBN:4122038030んでいたら爆笑ものの発言に行き当たった。フォードの『果てなき船路』の最後でミッチェルはジョン・ウェインら仲間と独り別れて船に乗る。その後その船がドイツ軍に撃…

エルロイ

ジェイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』ISBN:4167254395。彼の<暗黒のL.A.四部作>の一編でカーティス・ハンソンが映画に仕上げた完璧さが魅力をそいでしまっているかのようではあるが後先10年にそれを超えるノワールなどないと断言できる傑作フィルム…

敵あるいはフォー

J.M.クッツェー 『敵あるいはフォー』 Foe 1986 白水社 ロビンソン・クルーソーとフライデーが暮らしている孤島にイギリス人女性(スーザン)が漂流する。フライデーとともに国に帰った彼女は作家ダニエル・フォー(本名はデフォーでなくフォーらしい)に…

『時計じかけのオレンジ』第21章

『時計じかけのオレンジ』(アントニー・バージェス著)の、出版社の意向により削除された21章を発見。≫こちら。アレックスが人生設計を考え始めるという点で一見穏やかだが、彼が行ったような暴力が時代毎の若者により未来永劫続いていくという暗示がおそろ…

古本屋で

古本屋でいろいろと収穫があった。 『散り行く花』(D.W.グリフィス監督,ジュネス企画)ビデオ。300円。レンタルするより安いじゃん。asin:B00005H6QD 『青い犬の目』(ガブリエル・ガルシア=マルケス,福武書店)短編集。ISBN:4828840095 『暗室』(吉…

フィルム

サミュエル・ベケット 『フィルム』 Film 1964 (『ベケット戯曲全集』第3巻所収 白水社 1986) 「存在するとは知覚されるということだ」という冒頭に置かれたジョージ・バークリーのテーゼがものの見事に物語化されている。映画(フィルム)内における存在…

ロビンソン・クルーソー

ダニエル・デフォー 『ロビンソン・クルーソー(上)』 The Life And Strange Surprising Adventures Of Robinson Crusoe (1719) 岩波書店 以前経済思想系の授業で「経済小説」としてこの本が挙げられた理由が分かった。無人島に流れ着いたクルーソーは住居…

身振りの雄弁

蓮實重彦 「身振りの雄弁―ジョン・フォードと「投げる」こと」 (『文學界』2005年2月号所収) ジョン・フォードの映画における「投げる」ことについての考察。それは物語を始動し、加速し、終結させるという論に始まって、出来事や意味の豊かな表象としての…

グランド・フィナーレ

阿部和重 『グランド・フィナーレ』 (『群像』2004年12月号所収) 斎藤環が『文学の徴候』のなかで、阿部和重の小説を「ニヤニヤ笑い」とか呼んでいたのには共感できる。この新作も期待通り「ニヤニヤ笑い」を読者に伝染するだろう。漢語が連なった硬い印象…